大相撲の十両とは?幕下との待遇格差や驚きの年収・昇進条件を解剖
大相撲の世界において、力士の運命を劇的に分ける境界線が存在します。それが「幕下」と「十両」の間に横たわる、あまりにも巨大な壁です。十両へ昇進した力士は初めて「関取」と呼ばれ、日本相撲協会の規定上、名実ともにプロの相撲取りとして認められます。
化粧まわしを締めて土俵入りを行い、本場所で15日間毎日土俵に上がる姿は華やかに見えますが、その地位を掴み取るまでの道のりは過酷を極めます。給料の発生有無から付け人の存在、大銀杏を結える権利に至るまで、幕下以下とはまさに「天と地」と形容されるほどの待遇差が待ち受けています。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:十両昇進で初めて「関取」となり、無給の養成層から年収約1600万円以上のプロアスリートへと待遇が一変する。
- 要点2:個室の付与、付け人、大銀杏、新幹線グリーン車移動など、生活環境や土俵上の権利が劇的に向上する。
- 要点3:15日間毎日の取組で勝ち越し(8勝以上)を維持できなければ即座に幕下へ陥落する、極めてシビアな実力主義が敷かれている。
【天と地の差】十両と幕下の決定的な違い|関取と呼ばれる境界線
大相撲の番付表において、十両(正式名称:十枚目)以上の力士は「関取」と呼ばれ、幕下以下の力士は「力士養成员」と明確に区別されます。この区分は単なる呼び名の違いにとどまらず、相撲界における身分そのものを決定づける絶対的な境界線です。
最も象徴的な違いは、本場所での取組日数にあります。幕下以下の力士は1場所15日間のうち7番相撲しか取ることができませんが、十両以上の関取は15日間毎日土俵に上がります。星取表に毎日白星や黒星が刻まれ、NHKの大相撲中継でも名前と顔が全国へ放映される点も、プロとしてのステータスを象徴しています。
幕下でどれほど強さを誇っていても、十両の座を掴まない限りは「見習い」の扱いを脱することはできません。東西各14枚目、合計28名に限定された十両の枠を巡り、力士たちは日々しのぎを削っています。
【年収・手当の全貌】十両力士の給与事情とボーナス支給の内訳
十両と幕下の差を最も強烈に物語るのが、金銭面の待遇です。幕下以下の力士には月給が一切支給されず、2ヶ月に1度の本場所ごとに「場所手当」などの養成費がわずかに支給されるのみです。これに対し、十両へ昇進した瞬間から日本相撲協会より正規の月給が支払われます。
日本相撲協会の給与規定によると、十両力士の基本月給は約110万円に設定されています。これに加えて年6回の本場所手当、力士報奨金、さらに年2回の賞与(ボーナス)が加算されるため、十両力士の平均年収はおよそ1600万〜1800万円に達します。
土俵での白星1つ、関取の座を維持できるかどうかが、ダイレクトに生活基盤を左右します。幕下へ1場所でも陥落すれば再び月給ゼロの生活へと逆戻りするため、星取表の勝ち越しを懸けた土俵際の執念には凄まじいものがあります。
【生活と特権】大銀杏・付け人・個室|十両昇進で一変する力士の日常
十両への昇進は、相撲部屋における日常生活を180度塗り替えます。幕下時代は相撲部屋の大部屋で雑魚寝し、早朝からの稽古、ちゃんこ番や掃除といった雑務をこなす日々が続きますが、関取になるとこれらの労働から完全に解放されます。
十両力士に与えられる主な特権には、次のようなものがあります。
・付け人の配置:身の回りの世話や稽古のサポートを行う幕下以下の力士(付け人)が1〜2名つきます。
・個室の付与:相撲部屋内でプライベートな個室が与えられ、睡眠や体調管理の環境が大幅に改善されます。
・大銀杏と正装:本場所の土俵で結うことができる髪型が「ちょんまげ」から華やかな「大銀杏(おおいちょう)」になり、紋付羽織袴の着用が許されます。
・移動時の待遇:本場所や地方巡業への移動時、新幹線のグリーン車や飛行機のプレミアムクラスの利用が認められます。
食事の順番ひとつをとっても、関取が最初に温かいちゃんこ鍋を囲み、幕下以下はその給仕や後片付けを担当します。厳しい階級社会である大相撲において、十両昇進は人間扱い、一人前の武士として認められる儀式でもあります。
【歴史と語源】なぜ「十両」と呼ぶのか?江戸時代から続く由来と番付表の謎
現代の大相撲でも親しまれている「十両」という名称ですが、正式な番付表上の表記は「十枚目」です。ではなぜ、通称として十両と呼ばれるようになったのでしょうか。その歴史は江戸時代中期まで遡ります。
江戸時代の宝暦年間、幕内のすぐ下に位置する優秀な力士10名に対し、幕府や相撲会所から手当として金十両が支給されたことが語源とされています。当時の十両は庶民が数年間暮らせるほどの大金であり、その高額な報酬がそのまま階級の通称として定着しました。
現在でも日本相撲協会が発行する公式の番付表には「十枚目」と墨書されていますが、場内アナウンスやメディア報道では「十両」の呼称が広く浸透しています。数百年を経た現在も、高額な給与と名誉を勝ち取った選ばれし者たちの称号として、その伝統が受け継がれています。
【昇進と陥落のリアル】幕下から十両への昇進条件とシビアな星取表の攻防
十両へ昇進するためには、過酷な幕下の土俵で圧倒的な結果を残さなければなりません。一般的な昇進条件の目安となるのが、幕下上位(東・西幕下15枚目以内、特に1〜5枚目)での勝ち越しです。
幕下筆頭であれば「4勝3敗」と1つの勝ち越しでも昇進の可能性が極めて高くなりますが、幕下3枚目〜5枚目あたりでは「5勝2敗」や「6勝1敗」といった確固たる好成績が求められます。全勝優勝(7戦全勝)を果たせば、幕下15枚目以内であれば無条件に近い形で十両昇進を掴み取ることができます。
昇進力士の枠は、十両から幕下へ陥落する力士の数と厳密に連動しています。場所後の番付編成会議において、幕内・十両の入れ替えや十両下位力士の負け越し状況(星取表)を精査した上で、東西合わせて28名の枠が厳密に維持されます。わずか1勝の差で年収数千万円のプロと無給の養成员が入れ替わるため、本場所終盤の土俵には独特の緊張感が漂います。
【十両】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:十両から幕下へ落ちた場合、給料はどうなりますか?
A1:十両から幕下へ陥落した瞬間、翌場所から月給の支給はストップし、無給状態に戻ります。ただし、直前まで関取を務めていた功績や生活の急変を考慮し、一定期間の「養成員手当」や勤続年数に応じた補助が一時的に考慮されるケースはありますが、基本給やボーナスは全額失われます。
Q2:十両の力士は何人いるのですか?
A2:十両の定員は、日本相撲協会の規定によって東14名・西14名の計28名と定められています。幕内力士(42名)と合わせた合計70名のみが、大相撲界における「関取」の総数となります。
Q3:十両と幕内で、締められるまわしに違いはありますか?
A3:稽古場での稽古まわしは、十両以上の関取であれば白色(晒し)を締めることができます(幕下以下は黒や濃紺の木綿)。また、本場所の取組で締める締め込み(絹のまわし)や、土俵入りの際に着用する「化粧まわし」についても、十両以上の関取にのみ着用が認められています。
まとめ:今後の展望と注目ポイント
大相撲における「十両」は、夢を追う若手力士にとって最初の大きな関門であり、ベテラン力士にとっては意地でも死守しなければならない生命線です。関取の座を掴むことで得られる名誉、年収1600万円を超える経済的基盤、そして付き人や個室といった生活面の激変は、過酷な稽古を耐え抜いた者だけに許された特別な報酬と言えます。
本場所を観戦する際は、幕内の優勝争いだけでなく、十両昇進を懸けた幕下上位の攻防や、関取の地位を死守しようとする十両下位の熱戦にぜひ注目してみてください。土俵際に込められた力士たちの生活と誇りのぶつかり合いを知ることで、大相撲の奥深い魅力がより一層鮮明に見えてくるはずです。 (出典: 十 両(Yahoo!ニュース))