【2026年現地取材】忍者の里から世界的スマートシティへ。滋賀・甲賀市が世界の旅人と起業家を惹きつける「意外すぎる理由」
甲賀 市はいま、静かながら決定的な変革の時を迎えている。滋賀県南部に位置し、かつて「甲賀流忍者」の拠点として、また日本六古窯の一つである信楽焼の産地として歴史を刻んできたこの街が、2026年に入り国内外の主要メディアから熱い視線を集め始めた。
かつては素通りされがちだった豊かな里山エリアだが、いまや多国籍な旅行客やIT起業家たちがこぞって足を運ぶ新たな拠点へと変貌を遂げつつある。実際に現地を歩いてみると、古民家を改装したモダンなコワーキングスペースや環境負荷を抑えた革新的な窯元が点在しており、甲賀 市特有の深い歴史性とオープンなイノベーション精神が同居している事実に強い衝撃を受ける。
「リアル忍者」体験が世界的ヒット、2026年のインバウンド最前線
朝もやが静かに立ち込める甲賀の山林。竹林を揺らす風の音に交じって、欧米からのファミリー客が上げる感嘆の声が響く。いま海外からの旅行客が求めているのは、作られたテーマパーク型のエンターテインメントではない。彼らが切望するのは、歴史の息吹をそのまま肌で感じる体験だ。
地元で長年続く研究家や保存会が主導するプログラムは、単なる観光の枠組みを遥かに超えている。かつてこの地を生きた忍びたちの薬草知識、厳しい山林での生存術、そして精神統一の技法。これらを「生きる知恵としての忍術」として多言語で体系的に紐解く試みが評判を呼び、主要な体験プログラムは半年先まで予約が埋まるほどの盛況ぶりを見せている。
朝ドラの聖地・信楽焼が挑む「サステナブル陶芸」の波
愛らしい「たぬきの置物」で広く親しまれてきた信楽(しがらき)地区の窯元にも、これまでにない新しい風が吹き荒れている。世界的な環境意識の高まりを受け、伝統的な穴窯の薪にバイオマス燃料を導入したり、廃棄される予定だった陶土を再利用したりする新世代の陶芸家たちが相次いで立ち上がった。
「伝統を守るということは、時代に合わせて形を変え続けることだ」——そう語る若手作家の工房には、欧州のデザイン賞を総なめにした先進的な器が並ぶ。土の質感と素朴なぬくもりを残しながらも、現代のサステナブル建築や洗練されたインテリアに溶け込む信楽焼は、いまやパリやニューヨークのセレクトショップから注文が殺到する存在となった。
都心から1時間の好立地。若者たちが続々と「甲賀暮らし」を選ぶわけ
京都や大阪、名古屋といった大都市圏から車や電車で1時間前後という優れたアクセス性。これが、多様な働き方が定着した現在の若者世代にとって強烈な引き金となっている。
子育て世代を中心に、豊かな自然環境と独自のコミュニティ空間を求めて移住を決意する人々が後を絶たない。空き家バンクを活用して古い農家を手に入れ、DIYで思い通りの住まいやアトリエを作り上げる姿は、地域に新しい活力を注入している。地元の祭りや農作業を手伝いながら、平日は世界中のクライアントとオンラインで仕事を進める。そんな現代的なライフスタイルが、ここでは日常の景観となりつつある。
新名神の交通拠点から、自律走行モビリティの実験都市へ
新名神高速道路の開通以来、西日本と東日本を結ぶ物流の大動脈として重要な役割を果たしてきたこの地域だが、2026年はさらに一歩先を行く新章へと突入した。
広大な山間部と点在する集落という地理的条件を逆手に取り、自治体と先進企業が強力なタッグを結成。ラストワンマイルを繋ぐ自律走行バスやドローンによる自動配送ネットワークの実証実験が本格稼働している。高齢化が進む地域住民の足を守りつつ、物流の効率化を同時に達成する先導的モデルとして、全国の自治体から視察団が連日訪れている。
豊かな森と水が織りなす「甲賀の食」がグルメ界の熱い視線を集める
鈴鹿山脈が育む清らかな伏流水と、昼夜の寒暖差が大きい気候。この恵まれた風土が育む農産物は、美食家たちの間でも評価が高い。「近江牛」の極めて希少な血統を維持する牧場、無農薬で丁寧に育てられる伝統野菜、さらには酒蔵が新たに挑戦するクラフトサケまで、食の深みは底知れない。
近年では、この地で採れる食材のポテンシャルに魅せられた実力派シェフたちが、古民家を改装したレストランを次々とオープン。地産地消の域を超えた「ローカルガストロノミー」の重要拠点として、遠方からこの一皿のためだけに訪れる価値のある目的地へと昇華している。
伝統を紡ぎ未来へ渡す。変わりゆく地方都市の理想像
これほど急激な変化の渦中にありながら、現地で暮らす人々の表情には焦りがない。新しく移り住んできた人々を柔軟に受け入れつつも、何世代にもわたって受け継がれてきた土地の記憶や互助の精神を頑なに守り続けている。
古い歴史の影を残しながら、時代の先端技術や多様性をしなやかに取り入れて前へ進む姿勢。過去と未来が見事に交差し、独自の熱量を放つこの街の歩みは、日本の地方都市が目指すべき一つの鮮烈な解を示している。 (出典: 甲賀 市(Yahoo!ニュース))