ぺこぱ「時を戻そう」の誕生秘話と元ネタ|否定しないツッコミの真実
お笑い界の常識を鮮やかに塗り替え、空前のブームを巻き起こしたぺこぱのキラーフレーズ「時を戻そう」。2019年の『M-1グランプリ』で日本中を虜にして以来、誰も傷つけない“肯定型漫才”の象徴として親しまれてきました。激しい罵倒や強いツッコミが主流だったお笑いシーンにおいて、相手のミスすら優しく受け止める新境地はまさに革命でした。
この名フレーズが生まれた裏側には、松陰寺太勇の長年にわたる苦悩と、舞台上のハプニングから生まれた奇跡的なドラマが隠されています。単なるギャグの枠を超えて愛され続ける「時を戻そう」のルーツや、第一線を走り続けるコンビの軌跡を紐解いていきます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「時を戻そう」の元ネタは、ライブ中のミスをカバーするために松陰寺太勇が放ったアドリブから誕生
- 要点2:11年に及ぶ地下芸人生活と度重なるキャラ変の末、毒舌への葛藤から「否定しないツッコミ」へと到達
- 要点3:M-1グランプリ2019での大躍進を経て流行語大賞を受賞、現在も確固たるポジションを確立
【誕生秘話】「時を戻そう」の元ネタとは?ライブのミスから生まれた奇跡
キャッチーな響きとキザな身振りで放たれる「時を戻そう」ですが、綿密に計算されて作られた台詞ではありませんでした。その発祥は、お笑いライブの舞台上で起きた「痛恨のネタ飛ばし」をカバーするためのアドリブにあります。
当時のぺこぱは、着物姿にローラーシューズという奇抜なビジュアルで試行錯誤を繰り返していました。ある日のライブ中、相方のシュウペイが漫才のセリフを大きく飛ばし、舞台上に気まずい沈黙が流れるハプニングが発生します。通常の漫才であれば「ネタ忘れてんじゃねえよ!」と激しく頭を叩いて笑いに変える場面ですが、キャラクターに没入していた松陰寺太勇は咄嗟にこう叫びました。
「……時を戻そう」
紫色のスーツを翻しながら舞台上を旋回し、何事もなかったかのように直前の場面からネタを再開。この機転を利かせたリカバーが客席に大ウケしたことで、正式な決めフレーズとしてネタに組み込まれました。ピンチをチャンスに変える咄嗟の直感が、歴史的フレーズを生み出す決定打となったのです。
【苦悩の11年】売れない地下芸人時代と松陰寺太勇が辿り着いた「否定しないツッコミ」
ぺこぱのふたりが結成に至ったのは2008年のこと。東京・渋谷の居酒屋でアルバイトをしていた松陰寺太勇が、当時ギャル男だったシュウペイを熱烈に口説き落としたのがコンビ結成の秘話として知られています。
しかし、デビュー後の道のりは決して平坦ではありませんでした。事務所を転々とし、最終的にサンミュージックプロダクションへ所属するまでの約11年間、彼らは過酷な地下芸人生活を送ることになります。松陰寺はブレイクの糸口を掴むため、ロックミュージシャン風、着物姿のホスト風など、幾度となく奇抜なキャラ変を重ねました。
当時、松陰寺は王道の「強いツッコミ」を試みていたものの、シュウペイを強く叩いたり罵倒したりすることに強い違和感を抱えていました。「自分の性格的にも、人を傷つける言葉はしっくりこない」という葛藤を抱えていた松陰寺は、あるとき発想を180度転換させます。「相手の間違いを否定せず、すべて一度受け入れて肯定する」というスタイルこそが、唯一無二の「否定しないツッコミ」へと結実しました。
【歴史的転換点】M-1グランプリ2019で巻き起こした“優しい笑い”の革命
下積みを経て迎えた『M-1グランプリ2019』決勝戦。ぺこぱは最終滑走の10組目として登場し、日本中に衝撃を与えました。
シュウペイの自由奔放なボケに対し、松陰寺は「いや、突っ込めない!」「でも見てくれ、この車はバックしかできない……」と、全肯定しながらも物語を前進させる独自の話術を披露。従来のツッコミの概念を覆すスタイルは、審査員の松本人志氏や上沼恵美子氏をはじめとするレジェンドたちを唸らせ、最終決戦へと駒を進めました。
大会直後から漫才ネタ動画の再生数は跳ね上がり、SNSでは「見ていて誰も嫌な気持ちにならない」「現代に必要な笑いだ」と称賛の嵐が巻き起こります。激しい競争の中で独自の優しさを提示したぺこぱは、この大会を境にスターダムへと駆け上がりました。
【社会現象へ】新語・流行語大賞受賞と心に刺さる名言集
2020年には「2020ユーキャン新語・流行語大賞」のトップテンに「時を戻そう」が見事選出され、お笑い界の枠を超えた社会現象となりました。SNSでの日常会話からビジネスの現場まで、失敗を責めずに前を向くための合言葉として広く浸透したのです。
ぺこぱのネタには、日常の人間関係をラクにする数々の名言が散りばめられています。
「間違いを責めるな、正解を教えてやれ」
「誰かのせいにするくらいなら、俺のせいにすればいい」
「電車で前に立たれたら……景色を見せてくれてありがとう」
単なる笑いのフレーズにとどまらず、寛容さや他者への思いやりを感じさせるこれらの言葉は、ストレスの多い現代人の心を軽やかに解きほぐす力を持っています。
【現在地】バラエティと情報番組の第一線を走るぺこぱの強み
M-1から年月を経た現在も、ぺこぱはテレビ・ラジオ・Webメディアなど多方面でレギュラー番組を持ち、安定した人気を誇っています。
コンビとしての活動はもちろん、個々のキャラクターも大きく開花しました。シュウペイはその天性の明るさと愛され力でバラエティのひな壇やロケ番組で抜群の存在感を発揮。一方の松陰寺太勇は、キザキャラの枠を超えて情報番組のコメンテーターを務めるほか、持ち前の音楽センスを活かした楽曲制作など多彩な才能を見せています。
一過性のブームで終わることなく息の長い活躍を続けられているのは、根底にある「他者へのリスペクト」というスタンスが、視聴者だけでなく番組スタッフからも高く信頼されている証拠です。
【ぺこぱ「時を戻そう」】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「時を戻そう」は誰が最初に言った?元ネタはある?
A1:松陰寺太勇がライブ中のアドリブで発した言葉がオリジナルです。相方のシュウペイがネタを飛ばした際、時間を巻き戻してネタをやり直す演出として咄嗟に口にしたのがきっかけでした。
Q2:ぺこぱというコンビ名の由来は何ですか?
A2:所属事務所(当時は別事務所)の先輩であった韓国出身の芸人・赤プルさんに名付けてもらいました。韓国語で「お腹が減った(ペゴパ)」という意味があり、「いつまでもハングリー精神を忘れないように」という願いが込められています。
Q3:なぜ「否定しないツッコミ」を始めたのですか?
A3:売れない時代に強い言葉でツッコミを入れていたものの、松陰寺自身が「人を傷つけるツッコミが性格に合わない」と悩み抜いた結果です。相手を責めずに受け入れる発想の転換から、独自の漫才スタイルが完成しました。
まとめ:時代を包み込んだ「時を戻そう」が今も愛され続ける理由
「時を戻そう」というフレーズが単なる流行語に終わらず、今なお多くの人の心に残っているのは、そこに「失敗を許容し、相手を肯定する」という温かな哲学が宿っているからです。
11年もの長い下積みと試行錯誤の末に生み出されたぺこぱの漫才は、お笑いの可能性を広げました。優しさとユーモアを武器に進化を続けるふたりの活躍に、これからも目が離せません。 (出典: ぺこ ぱ 時 を 戻 そう(Yahoo!ニュース))